今日は料理レポート!とレシピに関するHowを考えます。
【はじめに】
アメリカではコーンフレークはメジャーな朝ごはんです。
おいしいのですが、問題は1箱の量が多いので途中で飽きてしまうことです。
今回はそんな理由で余ってしまったコーンフレークとマシュマロを使い、お菓子を作ります。
【材料: 一口大のお菓子約15個分】
コーンフレーク 40g
マシュマロ 80g
※コーンフレークとマシュマロの体積を同じにします。今回はそれぞれお茶碗約2杯分の体積のコーンフレーク・マシュマロを使いました。
(コーンフレークとマシュマロの種類によって重さが変化すると思うので、上記の重さは参考程度にしてください)
大きめの平たいお皿
クッキングペーパー
スプーン
電子レンジ
【手順】
1.コーンフレークの上にマシュマロを均等に並べる
左がコーンフレーク、右がマシュマロ。
大きめのお皿にコーンフレークとマシュマロを広げておきます。
マシュマロはコーンフレークの上にのせるようにします。
※マシュマロを下に敷いてしまうと、料理の過程でお皿にマシュマロがくっついてしまいます。
2.そのまま電子レンジ(1000W、アメリカの電子レンジは大抵1000Wです)で50秒あたためる
こんな風にマシュマロが膨らんできます。
取り出して上から見てみると、温める前に比べてマシュマロが膨らんでいるのがわかります。
3.コーンフレークとマシュマロを混ぜる
下のコーンフレークでマシュマロを包み込むように混ぜます。
スプーンを使うと手が汚れません。
コーンフレークとマシュマロがまとまりました。
4.一口大に分けてクッキングペーパーの上に並べ、冷蔵庫で冷やします
※このときは手を使うのが一番早いです。手に水をつけると、マシュマロが手につきにくくなります。
見た目はあまりおいしそうではありませんね・・・(笑)
暖かいままでも食べることが出来ますが、冷やして数時間してマシュマロの部分が固くなった頃が食べごろです。
料理といっていいのか良いくらい簡単にできます。
【食べてみた】
コーンフレークがさくさく、マシュマロの甘みとあわさっておいしいです。
ただし、マシュマロが沢山固まっているところはやわらかいです。
今回はコーンフレークとマシュマロのみ使いましたが、ドライフルーツやチョコチップを混ぜてもおいしいですよ。
コーンフレークの種類が違うと食感や味が変わるので、色々な組み合わせを楽しんでみてください。
【今日のHow:水が手とマシュマロに及ぼす影響】
今回お菓子を一口大にする際、手に水をつけました。これをすることでマシュマロが手につく度合いが劇的に変わります。水をつけることでいったい何が起こったのでしょうか、考えてみました。
<<予想>>
「手表面の成分とマシュマロの成分が相互作用によってくっつく。水はその相互作用を阻害する役割があるのではないか。」
このような予想を立てました。
今回はこの予想にしたがい、手とマシュマロに含まれる成分を調べ、それらにはたらく相互作用と水の役割を推測します。
<<手表面の成分>>
手表面の成分は汗腺(エクリン腺)や皮脂腺から出る汗・皮脂などの成分と同じと考えられます。
そこで汗の成分に関する情報を調べてみると、
水が約99%、その他には無機イオン(ナトリウムイオン、カリウムイオン、塩化イオンなど)や乳酸、ピルビン酸、アミノ酸、タンパク質、脂肪酸等が含まれていることがわかりました。
大まかな成分(日本語)
http://www.kusamado.com/contents/sc_baio04.html
http://www.hamaspo.com/sport/vol_170/ysmc.html
http://kknavi.lion.co.jp/symptom/sweat/other/sweat.htm
詳しい成分(英語)
http://www.plosone.org/article/info%3Adoi%2F10.1371%2Fjournal.pone.0028824
http://physrev.physiology.org/content/34/2/202.extract
相互作用に関係すると思われる成分を分類し、それぞれの化学構造式を書きます。
1.水
2.乳酸、グリセロール、ピルビン酸、アミノ酸(脂肪酸以外の一次代謝物質)
乳酸
グリセロール
ピルビン酸
セリン(アミノ酸)
3.脂肪酸
代表的な脂肪酸
<<マシュマロの成分>>
私が購入したマシュマロの成分は以下の物でした。含有量の多い順に並べると、
sugar:スクロースと考えて良いと思います。
corn syrup:マルトースや多糖類を含みます。
water:水。
gelatin:ゼラチン。多くの場合「グリシン-プロリン-X(大抵酸性または塩基性アミノ酸)」というアミノ酸の繰り返しによってできている分子です。
http://www.cfs.purdue.edu/fn/fn453/pdf_ppts/gelatin_2.pdf (英語)
modified corn starch:トウモロコシ由来のデンプンです。デンプンはグルコースが多数つながってできたものです。
dextrose:グルコースのこと。
natural and artificial flavor:香料。
artificial color (includes Blue1):着色料。白のマシュマロにブルーの着色料が入っているんですね!
手表面と同様、相互作用に関係すると思われる成分を分類し、それぞれの化学構造式を書きます。
1.糖類
スクロース
マルトース
デンプン
グルコース
2.水
3.タンパク質(ペプチドと呼ぶべきでしょうか?)
ゼラチン
<<相互作用>>
調べた成分の化学構造式をみると、お互いに以下のような組み合わせで水素結合(※、図中水色)をする可能性があることがわかります。
※水素結合:窒素原子(N)酸素原子(O)などと水素原子(H)が形成する、原子どうしの弱い結合。
-水(手)と糖類(マシュマロ)
-水(手)と水(マシュマロ)
-水(手)とタンパク質(マシュマロ)
-脂肪酸以外の一時代謝物質(手)と糖類(マシュマロ)
-脂肪酸以外の一時代謝物質(手)と水(マシュマロ)
-脂肪酸以外の一時代謝物質(手)とタンパク質(マシュマロ)
含有量から考えると一番多いと思われる組み合わせは、水(手)-糖類(マシュマロ)、水(手)-水(マシュマロ)の水素結合です。
これら水素結合に加えて、脂肪酸(手)とアミノ酸の残基(マシュマロ)が疎水性相互作用(※)によって弱い結合をする可能性も考えられます。
※アミノ酸の残基:アミノ酸の化学構造のなかで、他のアミノ酸との結合に関わらない部分。
※疎水性相互作用:疎水性のものどうしが引き合う相互作用のこと。
<<水の役割>>
これまでの推測から、水がどのように手とマシュマロの相互作用を阻害しているか、考えをまとめます。
水が手表面とマシュマロの間に入り、図のような「手表面成分-水」、「水-マシュマロ成分」という相互作用(水素結合)が生じることで、上であげた「手表面-マシュマロ成分」という相互作用(水素結合)が失われるのではないでしょうか。
※上の図にもあるように、手表面成分とマシュマロ成分は水と水素結合をします。
<<予想の確かめ方>>
「手表面の成分とマシュマロの成分が相互作用によってくっつく。水はその相互作用を阻害する役割がある。」
今回はこの予想が正しそうか否かを確かめる実験はしないのですが、するとしたら、熱を加えることで水素結合を壊し、手・マシュマロ・水の間の相互作用が失われるかどうか調べる、などが有効でしょうか。
実験をしない代わりに同じ予想があてはまりそうな例をあげると、おにぎりを握るときやお餅をつくときにも手に水をつけることで手とお米・お餅がくっつくのを防ぎますね。
水をつけても手に何かくっついてしまうことってあるでしょうか?
私はすぐに思いつかないのですが、もしあるとしたらこの予想は外れかもしれません。
【おわりに】
料理?レポートと今日のHowはいかがでしたか?
今日の Howについては成分どうしの相互作用以外にも色々な予想がたてられそうです。もし他に予想を思いついたら是非教えてください!
【謝辞】
参考にしたWEBページ
PubChem Structure Search
http://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/search/