2013年4月17日水曜日

変形イチゴ

暑くなってきて、よくフルーツを食べるようになりました。
今日は最近食べた「イチゴ」のHowを考えます。


【まとめ】

今回出会ったイチゴは、元の花床のサイズ・花床の肥大の程度が大きかったために、このような変形イチゴになってしまったのだろう。


【はじめに】

フルーツや野菜などを食べているとたまに面白い形のものに遭遇しますよね?
今日はそんなイチゴに出会ったので、何が起こってこんな形になったのか、考えてみました。


今回出会ったイチゴ(左)と普通のイチゴ(右)

【手順】

1.イチゴの構造

観察をはじめる前に、イチゴの構造を調べました。

イチゴの可食部分は図の様に痩果(そうか、子房にあたる)と花床がふくらんだものからなっています。花床とは花をつけている茎の先端の部分のことです。

イチゴのように1つの花床にたくさんのめしべが集まってできている果実を「集合果」というのだそうです。

また、今回私が見つけた変形イチゴは「乱形果」という種類の変形イチゴ(変形果)に分類されることがわかりました。
イチゴの可食部断面図(左)とイチゴの花断面図(右)


イチゴの構造・その他情報(日本語)
http://homepage3.nifty.com/malus~pumila/hana_to_kajitu/hana_to_kajitu/hana_to_kajitu.htm
http://kosodate.nishinippon.co.jp/science/topics/041.shtml
http://www.naro.affrc.go.jp/training/files/2006-17material.pdf

イチゴの構造・その他情報(英語)
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0023643811003021
http://www.fao.org/docrep/005/y2515e/y2515e04.htm
http://www.springerimages.com/Images/LifeSciences/1-10.1007_978-90-481-2967-6_29-2
http://www.nal.usda.gov/pgdic/Strawberry/book/bok9teen.htm


2.イチゴの観察(外観)

ヘタは1つで、普通のイチゴと変わらなかった。
可食部も形以外は普通のイチゴと違いがなかった。


3.イチゴの観察(内側)

まずヘタを取った状態で普通のイチゴと比べてみました。


変形イチゴ(左)と普通のイチゴ(右)


次にさらにスライスして変形イチゴ内部を見ました。


変形イチゴの内部

断面を見てわかったことは、花床の髄にあたる部分がすべて一続きになっていることです。



断面比較(左:変形イチゴ、右:普通のイチゴ)


【変形イチゴのでき方を予想してみた】

観察から、この変形イチゴのでき方を予想しました。

ヘタが1つであることと、花床の髄にあたる部分がすべて一続きになっていることから、このイチゴは普通のイチゴ同様、1つの花からできたイチゴであると考えました。

普通のイチゴとの違いは、元の花床のサイズ and/or 花床の肥大の程度が大きかったことに原因があるのだと思います。

元の花床のサイズが大きい理由として考えられるのは、発生時の異常です。花をつける茎の先端にある細胞が分化(※)する際に何らかの原因で花床になる細胞が増えてしまったのではないでしょうか。(詳しくは末尾の【Mikanのつぶやき】をどうぞ)

※分化:細胞分化とも言う。ある細胞の形や性質が特殊になっていくこと。

花床の肥大の程度が大きくなる要因としては、栽培時に行うオーキシン処理(※)が過剰であったことが考えられます。オーキシンとは植物ホルモンの1種で、その役割の1つに果実の肥大を促進する作用があります。

※イチゴ栽培時のオーキシン処理
http://tinyurl.com/bpp5pjy(日本語)
http://www1.gifu-u.ac.jp/~fukui/04-8-1.htm(日本語)
http://www.nal.usda.gov/pgdic/Strawberry/book/bok9teen.htm(英語)
http://www.jstor.org/stable/2437903(英語)


【おわりに】

使ったイチゴはミキサーにかけ、イチゴミルクプリンにして食べました。
日本のイチゴより甘くないので、さっぱりおいしいプリンに仕上がりました。

ちなみにこのイチゴは2パック(合計約500g)で5ドルでした。日本の物と比べると若干安いですかね・・・?

【Mikanのつぶやき】

実は花床の発生について、私はまだよくわかっていません。

がく、花弁、おしべ、めしべ(心皮)が花をつける茎の先端にある細胞(花芽分裂組織)からどのように分化については、それを調節する遺伝子・メカニズムが「ABCモデル」というもので説明されています。
花床は花芽分裂組織からは分化しないのでしょうか?それとも、がく、花弁、おしべ、めしべ(心皮)どれにもならなかった花芽分裂組織が花床となるのでしょうか?それとも・・・?

どなたかご存知の方がいたら教えてください!

【参考】
http://www.biol.tsukuba.ac.jp/~algae/BotanyWEB/top.html(植物用語、日本語)
http://www.jstor.org/stable/2437903(オーキシンとイチゴの形、英語)
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/9780470650585.ch8/summary(イチゴの生長と熟成、英語)
http://www.scielo.br/scielo.php?pid=S1677-04202005000400001&script=sci_arttext&tlng=pt(ABCモデル、英語)
http://pubs.cas.psu.edu/freepubs/pdfs/AGRS097g.pdf(英語)

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