2013年6月30日日曜日

先天性欠如歯 ~歯が人より少ないのはどうして?~


今日は「歯の本数」のHow!


【まとめ】

歯が先天的に足りない「先天性欠如歯」と呼ばれる症状は3種類に分けられる。この症状には遺伝的要因をはじめ様々な原因があると考えられ、研究が進んでいる。


【はじめに】

≪ストーリー≫

成人は通常28本の歯があるはず(親知らずを含めると32本)ですが、私は先天的に歯が5本足りません。(親知らずを含めると9本)
乳歯は通常の本数あったのですが、永久歯が先天的に少なかったのです。

歯医者さんは「最近歯が少ない人が多いんだよ」とおっしゃっていましたが、周りの人に歯の先天性欠如について話すと、意外に知られていない事実なのだということに気が付きました。

歯が少ないからといって特別大変なわけではありませんが、私以外の家族に歯が先天的に少ない人はいないため、私だけどうして歯が少ないんだろう?という疑問を持っていました。

今回はこの先天性欠如歯について、何が原因なのか調べ、考えてみました。


≪先天性欠如歯とは?≫

先天(性)欠如歯/先天欠損歯/無菌症(congenitally missing teeth/hypodontia/oligodontia/anodontia)とは、生まれつき乳歯または永久歯の数が足りない状態のこと。

患者によって欠損している歯の本数・場所は異なり、(親知らずを含めず)欠損している歯が6本までの症状をhypodontia、6本より多い場合をoligodontia、全ての歯が欠損している症状をanodontia/total anodontiaという。逆に通常より歯の本数が多い状態をhyperdontiaと呼ぶ。

私は5本足りないのでhypodontiaとなりますね。

Hypodontia患者の80%が1~2本の欠損、10%以下が4本以上の欠損、6本以上欠損している患者は1%以下。これまでの研究で人口のおよそ2.6~11.3%が先天性欠如歯、さらに、Hypodontiaは3:2の割合で女性に多いということがわかっている。(※日本を含まない12ヶ国での調査による)

http://ejo.oxfordjournals.org/content/26/1/99.full.pdf+html(詳細、英語)
http://www.quintpub.com/userhome/qi/qi_36_4_Larmour_3.pdf(※詳細、英語)
http://www.ha-channel-88.com/jiten/senntennkessonn.html(概要、日本語)


≪先天性欠如歯の治療≫

先天性欠如歯の患者への治療はいくつか種類があります。

1.歯科矯正

歯が無い事で生じた歯の隙間を矯正によって歯を寄せることで埋める。

2.インプラント

人工歯根をあごの骨に埋め込み、その上に人工の歯を装着し、歯の隙間を埋める。

3.入れ歯

歯の隙間を埋める様に作られた入れ歯(取り外し可能な人工の歯)を装着する。

4.ブリッジ 

隙間の両端の歯を削って支柱とし、橋の様に人工の歯をかけて隙間を埋める。(装着後は取り外さず、普通の歯の様に扱う)

私の場合は2~3年歯科矯正をしていました。

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ここでアメリカの歯に関するグッズを紹介!

まずは歯ブラシ。上が日本から持ってきたもの。下がアメリカで購入したもので、ブラシ部分が日本の物に比べて大きいです。でもどちらも大人用なんですよ!



今は以下の電動歯ブラシを使用しているため、上の歯ブラシは掃除用になっています。(笑)


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【先天性欠如歯の原因】

ここから先天性欠如歯の原因を考えていきます。まず、これまでにわかっていることを調べました。

≪わかっていること≫

■Total anodontia(全ての歯の欠損)に関して

Ectodermal dysplasia(外胚葉形成異常)など、病気の一症状としてあらわれることがある。
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0022391396900153(詳細、英語)

■Oligodontia(6本より多い歯の欠損)に関して

これまでにoligodontiaにはMSX1、PAX9、AXIN2という3つの遺伝子いずれかが関連しているという報告がある。MSX1とPAX9の変異は歯の形成制御に障害を引き起こし、AXIN2の変異によってcolon cancer(結腸がん/大腸がん)とoligodontiaが生じることがわかっている。
Oligodontiaにはこれら以外に遺伝的なものや環境等の要因も関係しているだろうと言われている。

http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.1601-6343.2008.00410.x/pdf  (英語)
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.1365-263X.2008.00915.x/pdf (PAX9遺伝子、英語)

■Hypodontia(6本までの歯の欠損)に関して

双子を被験者とした研究で、hypodontiaには遺伝的要因が大きく関わっていると示唆されたものの、他にも様々な原因があり、hypodontiaはそれらの相互作用の結果であると考えられている。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/6963769 (双子を被験者とした研究、英語)
http://www.quintpub.com/userhome/qi/qi_36_4_Larmour_3.pdf (英語)

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アメリカの歯のグッズその2!

アメリカでは歯磨き後、マウスウォッシュ(mouthwash)を使うのがポピュラーです。
色々なタイプのものがありますが、私は写真のようにアルコールの入っていない(alcohol free)マウスウォッシュを使っています。


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≪Hypodontiaの原因≫

私はhypodontiaであるため、hypodontiaに注目してその原因を考えてみました。

1.遺伝子(DNA)の変異または欠損
2.栄養不足
3.その他物理的・化学的な害


1.遺伝子(DNA)の変異または欠損

これまでの研究でも調べられているように、歯の形成等に関わる遺伝子(DNA)に変異が入っていたり、欠損していたりする可能性があります。
自宅で遺伝子の配列を調べることが出来ないので確かめられないけれど、いつか私と家族、そして同じhypodontia患者の遺伝子配列(Hypodontiaに関連していると言われている遺伝子)を調べて比較してみたいです。


2.栄養不足

例えば、歯の主成分であるハイドロキシアパタイト(カルシウムやリンなど、※)が不足していたことが考えられます。

※歯の成分:http://dental-style.com/news/?p=370


3.その他物理的・化学的な害

歯や歯茎に加わった圧力、摂取した化学物質などにより歯の形成や保護が妨げられた可能性が考えられます。


もし2.や3.が原因であるとしたら、骨など体の他の部分にも影響がありそうなので、1.が原因である可能性が高いのではないでしょうか。
遺伝子(DNA)であればその配列だけでなくエピジェネティクス(DNA配列の変化なしに起こる、遺伝子のはたらきの変化・制御)も関わっていることも考えられます。


【おわりに】

予想以上にポピュラーな症状であったhypodontia。(人口の2.6~11.3%)それでもまだわかっていないことが沢山あるのですね。

親知らずも生えてくる人とそうでない人がいます。この違いはどうして生じるのでしょうか?次回以降、親知らずについても調べ、考えてみたいです。

私が小学生の時に矯正を担当してくださった先生はその頃から今までずっとお世話になっていて、私が渡米する前にも診察を受けました。その際は「デンタルフロスは確かアメリカ生まれだよね。色々な味があるけど、ミント味なんかいいよ。」と教えてもらいました。


こちらで使っているデンタルフロス。ミント味好きです。



【謝辞】

お世話になっている歯医者さん


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